老人保健施設(老健)では多くの介護士が働いています。そして老健では介護施設の中でも介護士の苦労が多い種類の施設として知られています。特にコミュニケーションの面で苦労は多いです。
老健は完全な介護施設ではなく、長期入院などを終えた高齢者などが在宅復帰に向けたリハビリを行う施設でもあります。そのため、医師や看護師などの医療関係者、管理栄養士、言語聴覚士など様々な業種のスタッフが常駐しています。その全ての業種の人間とコミュニケーションを取ることが負担になるのです。

もちろん全てではありませんが、よくある話が介護士は医療関係者に見下される傾向にあるということです。看護師や医師の中には、医療措置を行えない介護士よりも、自分たちの方が立場が上だと勘違いしている人も多くいます。そのため命令口調になったり、介護士の仕事ではない雑用を押し付けたりするという問題行動を起こす人もいます。本来ならば医療は医療、介護は介護とそれぞれがまっとうするべき任務があり、比べるべきものではないのです。
入所者の出入りが激しいということもストレスになりがちです。老健の目的は要介護者の在宅復帰なので、たいていは3ヶ月もすれば施設を出ていくことになります。そのため介護士の中には寂しさを覚える人もいます。また、新しい人が入ってくるたびに名前と顔を一致させ、対応方法や会話の仕方などを新しくしなければいけないことにストレスを感じることもあります。